前へ
この前、光栄なことに明治大学ラグビー部の元監督、北島忠治さんの本の製作に携わった方からコメントをいただく。
そんなこともあって、約20年ぶりに手に取る「前へ」。
はじめて読んだときは、ラグビーの指南本として、プレーヤーの観点から、とても勉強になった、という印象だったけど。
いま読み返すと、哲学書の匂いがする。
「かわして一つ勝つのも人生なら、正面からぶつかって、はじきとばされて負けるのも人生。人生の勝負は一回や二回じゃない。この先何度も何度も同じ相手と闘わなければならないんだ。一回目はかわして成功したとしよう。でも二回目はどうか。そんなにうまくはいかないと思うよ。真正面にぶつかって、何度も何度もはじき飛ばされるうちに、いつか力関係が逆転したなら、それは絶対のものとなるはずだ。」
67年間ブレずに、多くの若者に影響を与えた北島監督の功績を称える言葉が思い浮かばない。
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余談だけど、この本の写真を見て、あらためて思ったのは、
紫紺は、長袖を襟を立てて着るのが美しい。
機能性だけを考えた襟なしフィットタイプの半袖ジャージを、北島先生は嘆いておられるのでは・・・
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対抗戦は来月早々、上位チームによる星のつぶしあいが始まる。
明治復活の切り札として、昨年監督に就任した吉田義人氏。
大学3年のとき、北島監督が学年を間違えてキャプテンに指名されそうになったというエピソードを持つ愛弟子。
2年目の今年、毎日、朝練習をしているらしい。あの明治が。
吉田義人は北島忠治にはなれないかもしれないけど、
今年、秩父宮や国立で、
吉田義人の「前へ」が見られたら、こんなうれしい事はない。