アンナミラーズの歴史(7)

平成18年、夏。
第16回関東大会。
15回目の挑戦となるこの大会、メンバーへの連絡メールには、さらっと「有終の美」とか「最後の大会」とかいうフレーズが盛り込まれていた。
15回って区切りとしてもいいじゃない。
これ逃したら次は、20年だし。
幾つになってるんだよ。


ラストシーズンキャンペーンで盛り上がって感動の勝利、
という期待も虚しく、見せ場なくあっさり連敗。


平塚駅南口「北海道」。
打ち上げの席で、メンバーに充分酔いが回ったことを確認して、主務は今年で最後にする旨を淡々と語る。
ホントだったのかと驚く者。
やっと解放されると胸をなでおろす者。
反応は様々だった。


じっと黙って聞いていた清原(仮名)がぼそりと言う。
「いいんですか?」
強面の武闘派が口を開いたことでメンバーに緊張が走る。
「10何年もやってきて、最後があんな試合でいいんですか?悔しくないんですか?」
「・・・」
「あんな負け方して、このまま辞めちゃっていいんですか?」
「・・・」
「悔しくないンか!」
武闘派の剣幕に、その場にいた全員が凍りつく。


一人を除いて。


空気を読みきったのか、まったく読んでないのか慎之助(仮名)のカン高い声がその場を支配する。
「まあまあまあ、お二人ともそんなこわい顔しないで。
飲みましょ!飲んで忘れましょ!
また来年がんばりましょ。はい、かんぱ〜い。」
ええ〜っ、飲んで忘れましょ、って・・・。


2009年夏
7月の最後の土曜日。
僕らは平塚駅南口から海へとつながる道を
「ったく、何度来ても遠いなぁ。」とか
「なんか知らないけど、今年も来ちゃったなぁ。」
とか言いながら歩いている。


明かりが見えないこともない。
ここ2年、新入社員が続けて入部している。
一人は数年待ち焦がれたラグビー経験者。
一人はスポーツ万能の武道家


北海道での激論からの3年間。
1勝と1引き分けがあるだけで、あいかわらず見せ場のない試合が続いている。
社内でも「いい歳してビーチバレーでもないだろう」という声も聞こえてこなくもない。(バレーじゃないっつうの)


でも、来年の夏も、
僕らはぶつぶつ文句を言いながら
あのビーチパークへのだらだらと長い道のりを歩いているんだろう。


        (つづく 次回は来年の夏<2010・復活>の予定です)