その先に、あなただけのメダルが

もう遠い出来事のようですが、
忘れないうちに8/22の第5回手賀沼トライアスロンのことを


【レース前夜】

東海大相模が敗れたショックを引きずりつつ、
夕方レース会場近くの会社の独身寮へ。


TVのない部屋で、就寝前のひととき、
村上春樹「走ることについて語るときに僕の語ること」を読んで過ごす。
こんな日は、世間の雑多な情報から遮断されるのも心地よい。
多くは望まないので、
お願いだから、
明日の朝、曇りますように・・・



【レース当日・朝】

なぜか、自転車のタイヤの空気が抜けている。
パンク。
眠気が吹きとぶ。
移動のとき、何かしちゃったのか?
朝の5時に大汗かきながらパンク修理。
やれやれ。
まぁ、ひと汗かいたおかげで、おいしく朝食がとれました。


それにしてもいい天気。
日頃の行いがよいせいか、
ビーチもトライアスロンもまず晴れる。


6時すぎ、会場につくとすでに、健康すぎて困ってます、
みたいな人がたくさん集まってる。
我孫子くんだりまで、お金はらって、苦しい思いしに来るなんて、
何考えてるんだ、この人たち。


手賀沼の水温27℃は許せる。
けど、この時間で気温30℃ってどうよ。



【スイム 1.5km】
750mを折り返すコース。
参加者が400名近いので、スイムは2つのグループに分かれての10分おきのウエーブスタート。
8:00、第1ウエーブがスタート。
トップ集団、速っ!


過去2回は、第1ウエーブだったけど、今年は第2ウエーブ。
第1だと折り返したあたりから、第2の速い人たちに、ばんばん抜かれて落ち込むので、よしとしよう。



 (第2ウエーブスタート直後)


水温27度は、意外に快適。
水中の視界が数十センチなのは、あいかわらずだけど、匂いも気にならないし、味もまあまあ(けっこう飲んじゃうんだな、これが)。


いままでのレースでは、スタート時のバトルを避けるため、後方から遅めにいったのだけど、最初のロスがもったいない気がして、今回はスタートから飛ばしてみる。
結果、折り返し地点まで、殴る蹴るの小競り合いに巻き込まれ、かなり消耗。
後半、息ぎれ。
1.5kmはプールだったら30分くらいで泳げるのだけれど、今回も40分かかってしまう。
ウエットスーツ着てるぶん、浮力を得てるはずなのに。
ったく、どんだけ蛇行してんだろ?


【バイク 40km】

水泳が遅いので、トランジットでは、自分の自転車は探しやすい。
すでに他の人の自転車が、ほとんどないから。


自転車は、3種目のなかでいちばんの長丁場。
集中力が大事。
というのは、わかっているけど、
炎天下、ヘルメットかぶって時速30kmを維持するのは、けっこうしんどい。


普通は、汗はかいてても、風で乾いてしまうのだが、今日は汗がやたら目にしみる。
それだけ暑いのか、それとも遅くて乾きにくいのか?


4kmのコースを5往復するのだけど、3周回目くらいがいちばんキツい。
太腿に乳酸は溜まってくるし、先は見えないし。
おまけに、暑さで頭がぼーっとしてくる。


ヘルメットから茶髪のロン毛をなびかせている人に抜かれる。
えっ、こんな速い女の人いるの?
それとも自分が遅いの?
と一瞬悩むが、すね毛が確認できてホッとする。


4週目。疲労もピーク。
そういえば、我孫子の住人が、ハスの花がキレイだって言ってたな、なんて思いだし、コース脇の白い花にしばし見とれる。
のんきに花なんか見て、余裕なのか、集中力の欠如なのか?
たぶん、後者。


おなじコースをやっと5周回し、バイクパート終了。
1時間半の長旅。
このとき、手賀沼大橋の上からもぼくがバテてるのが、はっきりわかったらしい。
じっさい、そうだったんだけど・・・



【ラン 10km】

ランニングのスタート時、10kmレースのベストタイムを上回らないと、去年の記録に届かないことが判明。
もう2時間以上、体を酷使してるうえで、真冬に出した記録を超えるなんて、
あり得ない・・・


という絶望感のなか、最後の種目がスタート。



  (最後の種目、10kmのランへと向かう)


折り返してから、しばらくして、勝手にライバルに設定させてもらってる山田玲奈さんとすれ違う。
少し気持ちが明るくなる。


歩くようなスピードで走っていると、ボランティアのおじさんが声をかけてくれる。


「その先のゴールに、あなただけのメダルがありますよ。
 悔いの残らないよう、あなたらしい走りを!」


どう考えても苛酷なコンディション。
あのおじさんの言葉で息を吹き返した人、多いだろうな。


元気になった矢先。
コース脇で倒れている人を発見してしまう。
熱中症か?
大丈夫かな?
なんて考えてて、
その人のところに水を届けようと走るボランティアの女の子に抜かれる。


ラスト1周回の折り返しも過ぎ、あと1km。
反対側のコースに最後の折り返しに向かう山田玲奈さんが見える。
芸能人と触れ合う機会なんて、そう多くないので
勇気を振り絞り、
「玲奈サン、ラスト頑張りましょう!」
と言ってしまう。


疲れ切った笑顔で
「ありがとうございます」
と言ってくれた玲奈さんに、
来週からはJ-WAVEの「RADIO DONUTS」欠かさず聞きます、
と心のなかで誓う。


フィニッシュゲートが見えてくる。
順位は200番をとっくに超えてるけど、
みんな、バンザイしながらゴールしている。
この順位で、あれは、ちょっとはずかしいよなぁ、
と思うのだけど


MCの人がゼッケンではなく名前をアナウンスしてくれると、
両手を突き上げてしまう。



敗者のいないスポーツ。



けして、運動するにはいい条件とはいえない夏の日に、
水と大地と風と対峙し、
いい歳をして限界に挑んでしまう。


1年のうち1日くらい、
こんなクレージーな日があってもいいのかもしれない。


・・・


最後に、
アットホームな雰囲気の大会を演出してくださった
スタッフやマーシャルやボランティアの方々と、
応援してくださった方々と
スタートラインに立つまで、支えてくれた人たちに
感謝、感謝です。
また来年も、よろしくお願いします。