試合の勝敗より大切なこと

Number 746号 
大学ラグビー新時代。伝統校と新興校の未来


見出しだけ派手なスポーツ新聞と違い、この雑誌の記事は熟読するに値する。
帝京と東海が決勝に進んだのは外国人を補強したから、なんて薄っぺらいとんちんかんなことが間違っても書いてないから。
試合直後の記事というのは、ゲーム中のエリアマネージメントの成否やスタッツの分析で、それはそれで興味深いのだが、Numberのレポートは指導者が何を考え、チームをどこへ導こうとしていたのかが詳細に記されており、入り込んでしまう。
選手権で優勝した帝京と並んで早慶明の伝統校が特集を組まれていたのに対し、準優勝の東海がその他大勢扱いだったのは、少し残念な気もするが。
まぁ文芸春秋さんもビジネスだから発行部数とか気にするんだろうけど。(以前はラグビーの特集号も年3〜4回組まれていたと記憶している。)


結果というのは残酷で、過去に取り組んできた経緯の評価を鮮やかに結論づける。
帝京の岩出監督は言う。


強くなるには人間性が大切です。
練習への取り組み自体、人間性が関わる。
例えば体を作るためには、根気強くトレーニングしなければならない。
そのためには、心がなければできません。


毎日、根気強く、練習に取り組み、しんどいことがあっても逃げずに向かってきた。
だからこそ、僕は学生を信じていましたね。


帝京に取材に行くと出会う選手たちがみな「こんにちは!」と頭を下げるという。
クラブハウスの靴箱の上には、「気づいたら即行動、個人の意識でチームが変わる、ごみを拾おう」と記された張り紙が。


対して伝説の主将が満を持して監督に就任した伝統校では、練習グラウンドに入るに際して一礼する部員はほとんどいなく、「集合!」と監督が声をかけても、ほとんどの者は全力で集まろうとしない、らしい。


11/22の56-0も、1/2の43-12も、ラグビーの試合をする前に勝敗は決していたのかもしれない。


今年の秋も、新興校の躍進が続き、伝統校の復活はならないのか。