不屈の心体 なぜ闘い続けるのか

大畑大介著「不屈の心体 なぜ闘い続けるのか」(文藝春秋)を読む。


順風満帆の才能溢れる天才というイメージがあったけど、ユースのカテゴリーでは控えに甘んじる機会も多く、度重なるケガ、海外での不遇など壁にぶち当たっている期間のほうが長いくらいだ。この人の逆境をプラスに転じさせるエネルギーはすごい。7か月という短期間に左右のアキレス腱切ったらふつうは心折れるでしょう?
そして、つくづく責任感の強い人だ。30歳をすぎて最後と思って臨んだW杯直前の大ケガ。引退に傾く気持ちを押し留めたのは、自分がこのまま引退したらラグビーが危険なスポーツだというイメージを与えかねないということと、自分にラグビーをやることをすすめた父親に悲しい思いをさせたくないという思い。
泣かせる。
壁に当たり、悩み、前に進む力を失っている人に読んでほしい1冊。


ハンドボール宮崎大輔、ハードルの為末大もそうだが、自分の時間を犠牲にしてそのスポーツの普及に取り組む姿には頭が下がる。目前の試合のパフォーマンスのことだけを考えたらマイナスでしかないことに敢えてのぞむのは、本当にそのスポーツを愛しているからなんだろう。
現役でいることは無理だとしても、2019年まで何らかの形で走り続けてほしい。


大畑クン、よくジャンクスポーツに出てるが、「Sですか、Mですか」の問いに、「他人に対してはSで、自分に対してはMですね」と言っていた。
あぁ、すっごく共感。