越さんにもらった勇気

中年の星、45歳の越和宏が出場しているスケルトンの4回戦を観る。


上位20人しか進めない最終の4回戦。3回戦を終えて21位だった越は、上位選手の失格によりギリギリで進出を決める。
ケルトンの世界には神様がいるらしい。


バンクーバーでの最後のレースで、公式練習も含めたすべての滑走でのベストタイムでゴール。1人うしろで滑ったチームメイトの田山に抜かれ、爽やかな笑顔を残して会場を去る。


1992年当時、日本で誰もやっていないこの競技にボブスレーから転向し、海外の大会に単独で参戦し、この国にスケルトンという競技を広めたパイオニア。リストラに遭い、失業保険で遠征をしたこともあるという。


この競技に関する技術的な知識は持っていないが、TVの画面を通して彼のアツい思いが伝わってくるレースだった。


「オレみたいなおっさんが頑張っていて、それを見ている人も頑張ろうと思ってくれれば。
僕に才能はないし天才でもない。
それがちょっとやったらここまで来られる。
人間やれば変われるんだ、というのが伝わったらいい」


謙遜の過ぎる人だ。あなたがやったことは「ちょっと」じゃないでしょう。


メダルに一歩届かなかった上村愛子、アクシデントに見舞われながら最後まで頑張った織田信成、大怪我から復活を遂げた高橋大輔の銅メダル、そして越和宏のラストラン・・・
緩みっぱなしの私の涙腺はあと1週間持ってくれるのだろうか?