熱い海風のなか

じっとしているだけで汗が噴き出してくる夏の日。
熱風が吹きつける葛西臨海公園へ。


先週、足を攣って半べそをかいていた若手が「ええ〜、そんな骨折するような場面ありましたっけ?」とのたまう。
昭和のラガーマンはなぁ、我慢強いから、相手の前では痛がったりしないんだよ!


鍛高祭さんとの練習マッチ。
大事をとってゲームには参加せず、レフリー三昧。
大事をとったはずなのに、ディフェンダーに突き飛ばされ呼吸が止まる。
でも、医者の治療より、湿布より、ビーチに立つことがケガの回復にはいちばんいい薬だな。


葛西練もあと1回。
待ちわびた季節はなんでこんなに早く過ぎ去っていくのだろう。


関東大会まで。あと14日。

captain

澤さんが、試合後、子どものようにはしゃいでいるのを見てほっとする。
自分のパスミスからの失点を、決勝点となるヘッドによって帳消しにしたから、とかいうことでなく。


気のせいだったらいいのだけれど、試合中の彼女のふとした仕草、表情から、何となくコンディションがベストではない様子が感じとれた。ふれられただけで飛びあがってしまうほど痛い箇所があるとか、血液のなかの疲労物質が異常に高い値を示しているとか。
もちろん、生彩を欠いているということではなく、海外のメディアからも称賛される素晴らしいプレーを魅せているし、キャプテンとして背中でチームを引っ張っている。
長い間、挑み続け、夢見てきたことが、もう少しで現実になる戸惑い、とかいうことであればよいのだけれど。


数年前の七夕の日、彼女は短冊に「W杯で金メダルを獲る」と書いたという。
その時、まわりにいた人はきっと、リアクションに困り、曖昧な頬笑みを浮かべていたんだろうな。
その願いまで、あと一歩。
決勝の相手、アメリカとの過去の対戦成績は、3分21敗。
この数字に何の意味があるのだろう。
彼女たちが信じているのは、選手、スタッフが一丸となって今日まで築きあげてきたもの。


なでしこ達が、表彰台でいちばんキレイに輝くメダルをかけてもらうことを願わずにいられない。
18年間、さまざまな重たいものを背負い続けたキャプテンが、その重圧から解き放たれますように。


・・・


3時過ぎに起きて、TVの前でドキドキして、眠くて仕方のない幸せな1日を過ごすのが、あと1回だけというのは、少しさみしい気がするな。

最後の嘘

医者は、何度も見たことのある左胸部のレントゲン写真の一部分を、ボールペンの後ろの部分で指して言った。
「ほら、ここに細〜く線が入ってるでしょう。わかりますか?」
長年の経験からくる自分の感覚と診断結果が一致していることに思わず苦笑いしてしまう。
「こんな暑い時期にバンドで固定したくないですよね。とりあえず湿布を出しておきますので、痛みが引くまで大人しくしていてくださいね。」
「はい、わかりました。ありがとうございます。」
と言って診察室を後にするが・・・


もちろん、そんな指示に従うわけにはいかない。
関東大会まで3週間を切っているし、今週末の練習には大阪からもメンバーが参加することになっている。



土曜日、平塚での練習試合。
相手のクロスを読み切り、完全にコースをふさいだら、ボールを持った相手選手(体型的にロックと思われる)がトップスピードで体当たりしてきた。
普通こういう場合、かわそうとするか、素直にタッチされて次の攻撃を仕掛けるんだけど、前がまったく見えてなかったんでしょう。
してやったりとのんきにタッチするつもりだったので、飛ばされる。
肋骨を強打。
で、冒頭の診断結果。



関東大会まで、あと19日。
もちろん、この程度のことで凹んではいられない。
これは、きっと「今週は、軽い有酸素運動で心肺機能は維持しつつ、疲労を取り除くことに専念しろ」というビーチの神様からのメッセージ。



ただ一つ、安全なスポーツだから、と言って勧誘した新入部員にドン引きされないかが、ちょっと心配だが。


・・・


整形外科にウソをつくのは、もうこれで最後にしよう。

歴史を作る人たち

アジアでは感じることのないスタジアムの悪意のない完全なるアウェイ感。
こんななかでサッカー出来るなんて選手冥利に尽きるんだろうな。


なでしこの意志の強さはすごい。
疲労から精度のおちた時間帯もあったが、自分たちの準備してきたものを120分間出しつくしたはず。
もし自分が、BKラインに並ぶ4人のうちの1人だったら、何度もドイツのプレッシャーに耐えきれず真横のタッチに逃げていたと思う。


なでしこのメンバーたちは、サッカーの神様に勝利をお願いしたと言う。
言い訳をせずに、やるべきことを全てやって、目の前のことに全力を尽くそうという覚悟を決めた人だけが、神様にお願いをする権利があるのだろうな。
ドイツのディフェンディングチャンピオンのホスト国としての意地とプライドは凄まじかった。
どちらに微笑むべきか悩み続けたサッカーの神様は、「苦しくなったら、私の背中を見なさい」と後輩たちに言い続け、たぶん走れる状態ではないはずの10番が、痛みをこらえてピッチに戻ってきたときに、思わず青のユニに微笑んでしまったのだろう。


歴史を作るための戦いはまだ続く。


頂点まで、あと2試合。

our native shore

浴衣が本当に似合うのは、世界中でこの国の女子だけだな。


平塚駅は七夕まつりで大混雑。
でも、賑やか過ぎる北口へ背を向け、海へ。
天気予報は曇りのはずだったが・・・・


大会前最後のひらつかビーチパーク。
大会当日は、コートも6面まであるしテントも用意されるから、普段とは雰囲気がまったく違う。
この景色を見るのも今日で最後なんだな・・・
なんて感傷に浸ってる場合じゃない暑さ、というか「熱さ」だな。


先週5人で相当キツい思いをしたので、今回は精鋭6名での参戦。
1人増えただけ、と思われるかもしれないが、この1人が大きい。
で、ペネトレート役のエースがディフェンスで飛び込んださいに、貝か何かで足に裂傷を負い退場。
また5人になってしまったメンバーは足を攣るヤツも出てきてgive up。


変則的に行われた練習試合は1勝2敗1分け。


our native shore ひらつかビーチパークは、優しいだけでなく、時として僕らに試練を与える。


ひさびさに、目の前の景色が黄色くなった夏の午後。


no rain, no rainbow


関東大会まで、あと21日。

移籍

7月からクラブを移籍。


横浜アンナミラーズから戦力外を言い渡されたわけではもちろんない。
民主党における小沢一郎よりも強い権力を持つ主務がそんな目にあうわけがない。
スポーツクラブのことです。


以前通っていたスポーツクラブにとくに不満があったわけではないけれど、今月から通っているところは、会費はちょっと高いけど、家から近くて、営業時間が長くて、行ける曜日が多いので。
まだ鍛え足りないのかよ、とまた陰口たたかれそうですが。
最近改装してキレイになったんだけど、もとはバブル期に造られた建物なので無駄にゴージャスな感じがけっこう気に入っている。
そして、あえてこの時期に何かを変えたいという思いがあったような気もする。
周囲には、クラブ移籍の理由をいちいち説明するのが面倒だったので、前のクラブのインストラクターに恋をしてしまい、その人のことが大好きすぎて辛いから、ということにしてある。


計算外の効果が一つ。
早い時間帯に行くと同じプールで育成コースらしき中高生が、がんがん練習している。
コースロープを押しやるくらいの勢いで正直ちょっとうっとうしいんだけど、これは負けていられないな、と気合いが入る。
と言っても、若さ、気力、体力、すべての面で負けていますが・・・


・・・


明日の天気予報は雨。
やっとの思いで選んだメッセージは届きそうもない。

聖地へ

1年ぶりにこの場所に帰ってくる。



ビーチフットボーラーにとって特別な場所。
しょうなんひらつかビーチパーク。


他チームの顔なじみの選手たちと久しぶりに会えたステキな1日。
やはりここへは、「帰ってくる」が正しい気がする。


20回目の夏。
公式戦では第2コートになるこの練習用コート。
これまでここで何試合したんだろう?
もう踏んでいないところなんてほとんどないんだろうな。


この日の練習会はメンバーぎりぎりの5人での参戦。
交代メンバーなしは、はっきり言って辛すぎる(泣)。


でも葛西でやってきたことが少しだけ形に。


残された週末はあと3回。


関東大会まで、あと27日。